JET THUNDERS New Album "S.H.I.N.E." 2017.06.21 in Stores













"JET THUNDERSは純粋な人間の集まりですよ。良くも悪くも"


ー 今回のアルバム『S.H.I.N.E』聴かせていただき、読み方はシャイン?シネ?

どっちで読んでもらっても構わないです。

ー 素晴らしい12曲が詰まったアルバムです。ただ、ロックンロールって今、あまり流行ってなくて。けどJET THUNDERSならその退屈な状況をひっくり返してくれるかなって。

嬉しいです。

ー 今回、初インタビューなので、知らないことを全部お訊きします。まずバンド名の由来は?

俺、ジョニーサンダースが凄い好きで。あと90年代の日本のガレージロックにも影響受けてて、JET BOYSとかギターウルフもJETって使ってるし。BLANKEY JET CITYも好きだし、ハイロウズで「ローリング・ジェット・サンダー」って曲もあるし、JETとTHUNDERSをくっつけたらカッコいいんじゃないかなと。

ー 瀬川さんは、かつて“しっぱいまん”と名乗ってましたが、ハイロウズの曲名からですかね?

名付けられたんです。18歳の時、まだJET THUNDERSをやる前で。前のヴォーカルは女の子で、俺ギター弾いてたんですけど、名前で呼ぶのが恥ずかしいからあだ名を付けようってなって。その子もハイロウズが好きで「じゃあ、しっぱいまんね」みたいな感じで。最初嫌で。自分では「コウヘイです」って言うんですけど、ヴォーカルの子が「しっぱいまん、しっぱいまん」って言うから、そっちの方が浸透して。最終的に否定するのも面倒くさくなって(笑)。


ー 札幌を拠点に活動してた頃のJET THUNDERSは3ピースでストレートなロックをやっていて、瀬川さんの歌詞が刺さって、歌声も色気があるという印象なのに、しっぱいまんっていう(笑)。根底は、歌詞・歌をちゃんと聴かせるバンドなのかなと。

そうっすね。洋楽とかは別なんですけど。――俺、コンビニでなんか買い物しても、すぐ食ったり飲んだりするんですよ。それと一緒で、レコード屋でCD買ったら、すぐ開けて中を見ちゃう。だから、歌詞って最初に見るじゃないですか。本が好きだっていうのもあるし。あと自分の縛りで、日本人だから英語の曲はやんないっていうのは決めてて。歌詞がメインのバンドではないですけど、歌詞としても成立するようにはしたいと思ってて。


ーもちろんバンドのアンサンブルがあってのメロディや歌の聞こえ方はあるんですけど、詩人的なロマンチックな歌詞が多いなと。夢見がちですかね?

ハハ(笑)。いやー、でも「現実を見てないね」とか「お伽噺の国から出てきたような人だね」とか言われたりはするんですけど。


ー夢見がちな少年っぽさがあります。――2007年にREALLIFE RECORDINGS(STRAIGHT UP RECORDS)からCDデビューしますが、そこは札幌時代お世話になったところで、今作も同じレーベルからリリースと。

はい。


ーただ、僕はJET THUNDERSを別経由で知ったので、あれ?と思ったんですよね。大手メジャーがテレビとか使って売り出すはずだったのに。もちろんSTRAIGHT UP RECORDSは凄いレーベルですけど。そうなった経緯は?

俺が青かったんですよ。後悔とかもしてないんですけど。今だったら「瀬川さんの歌詞をメインで売り出してく」みたいな感じだったら「どうぞどうぞ、よろしくお願いします」な感じになると思うんですけど、その時2007年だから、俺まだ24、25歳だったんで、自分だけ売り出されるのが本当に嫌だった。もう「曲はいいから早く送ってよ、瀬川くんの歌詞」みたいな感じで電話かかってきたりして。他はどうでもいいんかい!みたいな。で、やっぱり地元に根差して、全国に、なんなら世界にも発信してるカウンターアクションのレーベル(STRAIGHT UP RECORDS / REALLIFE RECORDINGS)から出した方が絶対良いと思うってメンバーに、2006年から2007年に変わる時、みんなで話したのを覚えてます。


ーそれから10年経ち、今回戻ってきた感じでまた同じレーベルからリリースするのは意味があると思います。

スゲー嬉しかったですよ。レコーディングを割と無計画で始めたんですよ。ギターの高野が入ったし、前作から空いてしまった、どうやって出すかは決めないで、とりあえず録ろうと。それで、また友達がやってるレーベルから出すのか? こんなご時世だから、自分達でプレス工場に出して、少しずつライブハウスで売るのか? それとも、CDなんか売れねぇんだから、もう配信を自分達でやっちゃおうとか。でもカウンターアクションからも出してぇと思って、こっちから打診したんです「今、4人で固まって、曲もカッコいいのが演れてるんで、出してくれませんか?」って。そしたらOKしてくれて。嬉しかったなぁ。

ーまた札幌時代に遡りますけど、メンバーが抜けて1人になりますが、理由としては?

僕の人格が破綻してるからじゃないですかね。


ー(苦笑)なんとなく解ります。2011年に瀬川さんは上京したのは?

ケンタロー君とやろうと思ったから。ケンタロー君が別なバンドをやってた時から結構仲良くて、何回も対バンしたりしてて。ケンタロー君がそのバンドを抜けた時、一緒にやらないかって。


ー東京のことは分かっていたとは思いますが、ゼロからのやり直しなので、結構な決断ですよね?

そうですね。でも、メンバーもいなくなっちゃって、札幌って狭い街なので、周りも気を遣ったりするんですよ。あと個人的な理由もあって、全部が悪い方に向かってる感じだったから。一回、全部チャラにしたくて。

ー分かりました。2014年にBaヨゴレ(宮本)さんが加入しますが、ところで、なんでヨゴレって言うんですか?

(苦笑)多分、汚れてるんじゃないですか。……あいつも同じような感じなんですよ。彼はもう十代で東京に出て来てて、俺はしっぱいまんって付けられたように、ヨゴレ君はみんなに付けられたのがヨゴレだったみたいな。


ーでも、彼はヨゴレと言いつつも素直ですよね。

JET THUNDERSは純粋な人間の集まりですよ。良くも悪くも。


ー2014年、上京後初のフルアルバム『TO BE OR NOT TO BE』をリリース。ここで名曲「I LOVE YOU」が誕生します。僕はJET THUNDERSで一番好きな曲です。I LOVE YOUって、よっぽどじゃないと付けないタイトルだし、曲調も潔い。ここぞって時に出来た曲なのかなって。

あざす!俺もあの曲は凄く好きです。自分の作った曲は全部好きですけど、自分が好きな曲を、観てる人やバンドマン、友達だったりが、いいって言ってくれるのは嬉しい。

ーライブ映えもしますしね。



"今の4人のテイクを残しておくべきだと思って"


ー 2015年にギターの高野くんが加入。ずっと3ピースでやってきましたが、4人にしたかったんですか?

俺とケンタロー君は3ピースバンドへの憧れみたいなのがあって、頑なに拒んでたんですけど、ヨゴレ君が物事を客観的に見ている人で「絶対にもう1人、入った方がいいよ」ってずっと言ってて。何度目かの話をした時に「いた方が色々と広がるのかなぁ」と思って。でも、友達になれる奴じゃなきゃ嫌で。「高野いんじゃん!高野だったらセッションしてみようよ」って言ったら、みんなも「あ、高野がいたねー」って。


ー デカいのがいたねーと。高野君が入って良かったのは、まず瀬川さんが歌に集中できる。

そうですね。


ー あと、高野君のギターはセンスあって、ガレージっぽい感じのギターを想像しがちなんですけど、意外とアイデアあるなぁと。

あいつ、ギターがスゲー好きなんですよ。


ー 僕が知った時は、もうミニアルバム『L.I.L.A.』を作った後で、ポスターも出来上がってバーン!みたいな、そこで勢いが増した気がします。

やっぱ、バンドも生き物だから、なんかトピックスが無いと、満員電車に乗ってるサラリーマンみたいな感じになると思うんですよね。基本は同じ事の繰り返しなので、曲作って、スタジオでセッションして、ライブやって、音源出して、ツアーして。それが楽しいからみんなやってるんですけど。どっかで壁にぶつかる……「お客、入らないねぇ」とか「増やすためにはどうしたらいいんだろう?」とか、色んなモヤモヤが出てきたりすると思うんですよね。そこで、リリースが決まったら、がんばろうぜ!ってなるし。で、最初は拒んでたけど4人がハマったし、リリースもあるしで健康体になったみたいな(笑)。


ー 僕はその頃からライブのブッキングとしてガッツリ関わるようになり、『L.I.L.A.』は勢いあって良かったんですが、その後、今回のアルバムはようやく出せる感じですね。

そうですね。


ー ライブでも披露してる曲もあるので曲は結構あったんですか?

曲は徐々にですね。今回のために作った曲もあるんですけど、基本は曲をライブで成長してったのを録る感じなので。1曲目「バラクーダ」は最後にできた曲で、CDに入れるために作ったので、この中では一番若い曲です。

ー 1曲目にしては結構ヘヴィな感じですね。今のバンドの迫力や、歌詞のさらけ出す感じは1〜3曲目で出てるかと。結構昔からある「ガールフレンド」等も収録されていて、これ凄くいい曲ですね。

割とヘヴィな歌なので、なんでそんな良い曲って言われるのかな?って思った時もあるし、いい曲でしょ?って思う時もあるし。ライブ観て泣いてる人もいたり、なんなら怒ってくる女の子もいたし。前のメンバーが抜けて活動休止する時に、最後に20曲入りのデモCDを会場に来た人と通販限定で作ったんですよ。そこにスタジオで録った「ガールフレンド」のテイクはあるんですけど、初めてちゃんと音源にしたんです。


ー そうなんですね。YouTubeでも昔のライブ影像上がってますけどね。

はい(苦笑)、消してほしいヤツもあるんですけどね。誰が上げてんだか。


ー スローな曲だと、「ドントクライ」は深みがあって歳相応というか。

多分、昔だったら作れなかった曲だと思います。あと3人だったら、こんなふうになってなかった。やっぱ高野がいるから、あいつは俺ができない事を軽々と弾くんで、それでもっと広がったと思います。


ー 「ガーベラの夢」と「おはよう」がS.H.I.N.E.VERSIONとなってますが。

「ガーベラの夢」はケンタロー君とやり初めて最初に切ったシングルの曲ですね。「おはよう」は俺らのこと好きな人なら、もう代表曲みたいな曲で。俺、例えば「今日インタビューやって楽しかった」と思ったら、その事を曲にするんですよ。言い方悪いんですけど使い捨てみたいなとこがあって。青空が最高だよ!って思った事を曲にしても、その日そう思って書いただけで、別に青空なんて嫌いだよって時もあるし(笑)、そうなったら演らなくなるんですよ。あいつのことぶっ殺すぞと思って作っても、もう別にどうでもいいやって許せたりしたら、その曲ってリアルじゃなくなるから消えてくんですよ。でも「おはよう」は2008年にCDになって、ずっと演り続けてるんです。演り続けてるってことは自分の中で普遍なことを歌ってるのかなと思って。けどメンバーは違ってるから、曲の感じとか昔とは違ってて。これからも演ってくだろうから、今の4人のテイクを残しておくべきだと思って録り直しました。


ー 昔と比べて歌い方とかも変わってるでしょうしね。

そうですね。あの厳しいヨゴレ先生が「しっぱいまんは歌がほんとに上手くなったよ」って、それは唯一褒めてくれるんで(笑)。



"そういう質問すらも踏みつぶすのがロックだと思う"


ー 今回のアルバム、どこを切っても良いですが、終盤の「おはよう」「ラストワルツ」「Good night」の3曲が特に素晴らしいですね!

あざす!


ー なんて言うか、1曲が1本の映画を観るくらいの世界観があって。

映画はちょっと褒め過ぎっすよ(笑)。


ー それだけの熱量はあると思います。そこに込めた情熱とか考えると。それこそ「おはよう」はもう何年も歌ってるわけで。「ラストワルツ」は今回MVにもなってますが、凄くメロディが良くて素直に良い曲だなって思います。MVにもなってるので推し曲ですかね?

うーん、俺らって……激しい曲ばっかり演ってるバンドではないし、「おはよう」や「ガールフレンド」とかだけのバンドでもないんだよね、みたいな感じがあって。両方を知ってもらいたいんですよ。それで今回、CD出すにあたって3本MVを撮るんです。最初に公開するのは「ラストワルツ」ですけど、それで上手くバラけさせたかったんです。ノリの良い曲、バラード調の曲、その間の曲で。これを撮ってくれた方が「この曲でやりたい」って言ってくれたから。


ー 「ラストワルツ」のMVはドキュメンタリータッチで凄くいいなぁと。

そういうの作るの始めてなんですよ。元々(スチールの)カメラマンの方で、上京してからの俺らのアー写やCDのジャケットとか全部撮ってくれてて。そういう人だからこそ撮れたんじゃないかなぁ。


ー バンドに対する愛情が伝わってきます。これでJET THUNDERSが売れたら、もっと泣けるビデオになりますね(笑)。

いやぁ、マジで(笑)。


ー アルバムはロマンチックな部分がいっぱいありつつ、資料にあるように“狂気”も感じられます。

なんなんすかね、それ。


ー でも、僕はそこまで瀬川さんは狂ってるとか変な人だとは思ってないです。

いや、俺はめちゃめちゃマトモっすよ。俺は別にそう思ってないですけど。例えば俺が「ロマンチストだねぇ」なんて言われたら、ケンタロー君が「俺の方がロマンチックだよ」とか(笑)言ったりするし。「シッパイマンは狂ってるよ」とか言われて「いや、お前の方がおかしいだろ」「俺はマトモだよ」って言ったら「俺の方がマトモだ」ってみんな言うし、高野は「じゃあ、俺が一番マトモだな」って言ったら「いや、お前もマトモじゃねぇよ」って突っ込まれて終わるっていう(笑)。


ー ほんと、純粋で無邪気さがあるのはJET THUNDERSの奇跡的な部分だと思います。だからこそロックンロール・ドリームを、口にするだけでこんな言葉あるんだろうか?って思いますが(笑)、そんな夢を見させてくれる、信じられるというか。そういう4人じゃないと伝わってこないですから。

……ロックンロール・ドリーム。


ー 本人たちは考えてないと思うんですけど。こんななロックンロール・バンドって、あまり流行ってないと思うんですよ。でも、僕が色んな音楽聴いて思ったのは、瀬川さんもそうだったと思うんですけど、やっぱり威力がある、一番カッコいいなって思うのはロックバンドじゃないですか。

そうですね。


ー 強さが違うというか、刺さってくる感じがもう音楽として優れてるとか完成度が高いとかじゃないと思うので。

なんか、もう全部踏みつぶしたいっていうか、俺もロックとか好きだから、酒飲んだりした時に「お前にとってロックって何なの?」とか訊かれたりするんですけど、そういう質問すらも踏みつぶすのがロックだと思うんです。バコーン!と喰らうみたいな、時代なんて一秒毎に変わってるんだから、時代に寄り沿うつもりもないし。子供に媚びを売るのがロックでもないし、かと言って大人のゴキゲンとるのもロックじゃないと思うし。……ロックにすがってるわけでもないし、別に選ばれたわけでもない、ただ自分たちで選んで、自分の真ん中にあるからやってる。だからもう、それ続けていくしかないっすよね。


ー いつか、バーン!とひっくり返してほしいですけどね。

そうすね。もうそれすらも、いやがんばりますけど、ひっくり返る時はひっくり返るんですよ、きっと。メンコみたいに。


ー メンコ、例えがいきなり可愛いい。

がんばっても、デカいメンコ買ったとしてもひっくり返んない時はひっくり返んないですよ。だから、もうやれる事をやろうぜ!って感じですよね。


ー そうですね。やれる事をやるしかないですからね。

だし、やる事をやれる環境が出来てる。やろうっつって、ブツかったりして、ライブやって酒飲んでみたいなメンバーがいる事に感謝しつつ、来るべき時が来た時のために。――みんな、もうおかしい事になってて「お前、芸人やってろよ」みたいなバンドとか多いじゃないですか。


ー まぁ話が面白くてナンボみたいな風潮もありますからね。

とか、なるべくトリッキーな事をやる感じとか。別にそれを否定するわけじゃないですけど。例えば、本当にカレーが好きで、カレーのお店出したのに全然流行らないから、ローストビーフ流行ってるからってローストビーフ作ったり、ラーメン流行ってるからラーメンやろうぜみたいな、最終的に何屋か分かんない店あるじゃないですか(笑)。そうはなりたくないし、それが出来る器用な4人ではないと思うんで。だから、自分たちが信じたものを突き詰めていくしかないと思ってます。


ー あとはそれを上手く届けるだけだと思うので、がんばりましょう!

キャッチしてほしいですよ、ほんとに。清志郎じゃないけど“君の知らないメロディ”がめっちゃ詰まってると思うので。色んな人がキャッチしてくれたら嬉しい。“ヒット曲”になるか分かんないけど(笑)。



取材:田代洋一(Zher the ZOO/UK.PROJECT)
カメラ:ハラダケイコ