パンク/ハードコア/サイコビリーの伝説的ドラマー達が、圧巻のトリプル・ドラム・セッションを繰り広げるユニット、「恒正彦」の初音源・映像作品が完成した。

今回「恒正彦」三人のインタビューを行ったが、本当に三者三様の個性を持っていて、この三人の奏でる音の洪水が、また改めて深みを増して聞こえてくるようになった。
今回は第一弾として恒正彦の「正」ことMASATO(ASSFORT、HELLBENT、R)に単独インタビューを行い、恒正彦のことから自分のドラム観、さらにはドラムを始めたきっかけなどを語ってもらった。


日本には多分いないと思うんですよね。僕らみたいなのは俺も知らないです

ーこのバンドを始めたきっかけは?

もともとHIKO君とはドラムバトルみたいなのでよく一緒になって一緒にステージでライブやったりしてたんですけど、幡ヶ谷のラコスバーっていう飲み屋で飲んでいるときにTOSHI-LOW(BRAHMAN)がたまたま居て、ツアーに行くと言うので「じゃぁ何かやらせてよ」って言ったら、結構大きな会場だったので、僕とHIKO(GAUZE)ちゃんだけじゃあれだからツネちゃん(Hi-STANDARD)誘ったら?って言われてツネちゃんを誘ったのが最初ですね。


ーその3人になったきっかけは? 他にもいっぱいいるじゃない?この2人とやりたいからって選んだのかな?

別にやりたいからというわけでは無くて、たまたま偶然の流れで。HIKO君面白いし仲良いし、ツネちゃんも仲良いから3人だったら面白いかなと思って。


ー DVDを観ると客を入れているじゃない?あれはそのままライブで録音したの?

客を入れてるところはライブですけど、録音は最初の時計合わせたりしてるところはレコーディング用に機材も全部入れて撮影と録音して、白黒映像のところはライブですね。


ー ライブもやってるんだ?いつごろからやってるの?

2013年からやってて、2013年には結構ライブをやったんですけど、2014年は1本もライブがなくて。録音は僕も前から録音をしようと思っていたんだけど、今年の頭にHIKO君から「今年は録音しようよ!」ってメールが来て、それじゃやってみようかと。
ことの発端では録音しようとかそういう感じじゃなかったんですけど、やってるうちにそういう気持ちになって来たんです。こういう形のバンドの音源ってないじゃないですか。


—無いよね。ドラム3人でやっているユニットみたいなのは他にもあるのかな?

日本には多分いないと思うんですよね。結構曲を構築してアンサンブルとかでやっているドラム3人組はいるんですけど、僕らみたいなのは俺も知らないです。

決めごとがなくて、より自由にできるのでそこが楽しい

—CDも聞いたんだけどあれだと誰が誰だかわかりづらいよね。

そうですね。それなので映像も出すことに。


—演奏するときにチューニングは変えたりするの?

特にそうしようとは思わないんですけど、三者三様で自分の音があるので、たぶんお互いがなんとなく被らないようにやってます。


—MASATOはドラムだけのライブとかよくやってるじゃない? その魅力ってどういうところなの?

バンドでドラム叩いてるとやっぱり決めごとが多くて。ギターでもベースでもそうだと思うんですけど、 決めごとがなくて、より自由にできるのでそこが楽しいです。自分だけの自己表現を、より出来るところがバンドとは違いますね。


—他に3人とかでやったことはある?

あります。MUROCHIN(WRENCH etc.)とMOSQUITO SPIRALのキョウちゃんとも。最大4人でやったことがあって、僕とHIKO君とブラフマンのロンジ君、DRAGON ASHの桜井君でもライブでやったことあります。


—MASATOとかHIKOが出てたドラマーバトルトーナメントみたいなやつは1対1なの?どうやって勝ち負けを決めるの?

予選は3人でやるんですけど、一応ルールがあって、僕が出て優勝した時があるんですけど、そのときは音が大きくて早く叩くっていうルールで、やっぱりハードコアの人が多かったです。ジャズの人も出てて早く叩けるんですけど、音が小さくて、おのずとハードコア寄りの人が勝ち上がってきますね。

僕の感覚は、音楽なんですけど3人で同時に絵を描いているみたいな感覚です

—DVDでHIKOは決め事のアンサンブルは好きじゃないと言っているけど、正人はどうなの?

全部が全部アンサンブルの決め事だと窮屈だけど、場所場所で決め事はあったほうがいいかなとも思います。


—DVDの後半で、1回止まってバーンと始まるところがあるじゃない? 決め事はあれぐらいな感じなのかな? 最初の時計を合わせているところとか。テープを貼ったりしてるけど、そこで何かやるとか決めてるのかな?

そうです。みんな12時のところに合わせて始めて5分たったらこれをやるとか。時間で決めてて、決め事じゃなくて2人だけでやる場面とかにもなったりして、自然な流れの感じでそうなりますね。


—HIKOがDVDの中で「バンドであるけれどもバトルでもある」って言ってるけど、バトル的な要素が強いのかな?

やっぱり3人でバーッとやってるから、負けたくねぇなって言う(笑)意味わかんないけど、負けたくないって言う気持ちが芽生えてしまう(笑)


—40分ぐらいやってるよね?休みはないの?

休めないですね(笑)あっても他の人がソロになってる1分とか2分とかだけで、まぁまぁ正直しんどいですよ(笑)肉体的にも。


—後半みんなの顔がスゴいことになってきてるもんな(笑) 40分って長いじゃん?どういうところが聞かせどこ?やってる側として面白いところと言うか見せ所というか。

バンドもそうなんですけど、観る人によって感じ方ってみんな感覚が違うじゃないですか。僕の感覚は、音楽なんですけど3人で同時に絵を描いているみたいな感覚です。「3人で同時に絵を描いていたら出て来たものがこれだった」という感じに思って聴いてくれたら面白いかなと思います。

HIKO君から誘われて「やってみたい」って思った

—リーダー的な役割の人はいるのかな?

なんか一応僕って言うことになっています。 まぁ、言い出しっぺっていうのもあるんですけど。


—こういうことをやろうとした発想はMASATOなの?

まぁ、そうです。


—このCDの録音は何テイクか録ったりはしていないの? 同じことはできないよね?(笑)

ライブレコーディングで1発です。同じことは絶対できないです(笑)


—スタジオとかは入らないの?

入らないです。ライブの日に3人集まってやる感じです。でも、今回はライブやる前に1回3人で集まったかな。3人で集まって何か決め事を決めるとかじゃなくて、意思の確認みたいな感じです。


—時計に印をつけて、そこで何をやるとかはみんなで決めるの?

最初は僕が1人で時計を見てたんですよ。ストップウォッチを見て僕が「何分経ったよ」とか合図を出していたんです。だけど僕しか時間を見ていないとタイム感がそれぞれ違ってくるので、そこはみんな同じ時間を共有しようということになって3人で時計を持ち始めました。1人だけが時計を見ていると、みんなが「今何分なんだ?」とかになってしまって疲れてきたりするので、安心感みたいなものですかね。


—それでいい感じになるんだね。これはチャレンジ的な作品だとは思うんだけど?

音楽的シーンでもそうですけど、ハードコアパンクシーンとかに対してもそう思います。


—すごく実験的な試みだと思うんだけど、ドラムだけで何かをやると言うのはドラムバトルとかああいったステージがきっかけだったの?

初めてやったのが、2006年か2007年ぐらいに高円寺の20000ボルトでやっぱりHIKO君とやったんですよ。最初はビルさん(ex.LIPCREAM etc.)がそういうことをやり始めていて、ハードコアのドラムの先輩たちがそういうことをやっているのは知っていたんですけど。その時ぐらいにHIKO君から「こういうのがあるんだけど?」って誘われて「やってみたい」って思ったんです。


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